夏の参院選を控え,地方の要望に配慮した結果だと思うが,参院選が終わったら,またコンクリートから人へ……「無駄な道路はあれこれ」とパフォーマンス合戦を再開するつもり?
費用便益分析は,走行時間短縮便益ですべてが決まってしまう傾向にある.かと言って,数字では捉え切れない「命」や「災害からの救助」という反論し難い価値を無限に加えれば,それこそ「すべての道路が必要」という結論になる.訳のわからんパフォーマンスを垂流す時間があるのなら,こうした数値基準に対する議論をテレビ放送したほうがよほど国益にかなうのでは?
とにかくアクションを起こす順番が間違っているから,こんな不細工な事態になる.代替の産業が育っていない状態で公共事業を止めてしまったら失業者が大幅に増加して収拾がつかなくなる,のは少し考えれば誰でもわかる.環境や福祉,観光という響きがよい砂上の成長戦略では雇用を生み出せないのが実情ではないか.
実際に概略設計や詳細設計していると痛感することだが,高規格道路の一般国道は立派でも,生活道路(いわゆる末端県道や市町村道)があまりにも貧弱すぎる.救急車や消防車など緊急車両が通行できない隘路も多いし,歩道が無い道路なんてざらだ.こうした毎日利用する生活道路の貧弱さが,「心の豊かさ」を感じられない大きな要因になっているのかもしれない.国土交通省は26日、2010年度予算の公共事業別の予算配分を公表した。直轄の国道整備では、昨年秋の段階では約150路線を凍結候補としていたが、与党議員らの反発で実際の凍結は4路線にとどまった。前原誠司国交相が30道府県に再検証を求めた補助ダム58カ所については5ダムの継続を認めた。
直轄の国道整備で凍結されたのは、国道7号浪岡バイパス(青森県)▽国道4号郡山バイパス(福島県)▽国道56号五十崎内子拡幅(愛媛県)▽国道57号阿蘇大津道路(熊本県)の4路線。
前原国交相は昨年10月、道路整備の新規着工の原則凍結を表明。さらに3年以内の完成が見込めない道路を中心に約150路線を凍結候補とし、11月に都道府県などに通知した。だが、自治体の陳情を受けた民主党幹事長室などが予算の復活を要望。要望を反映し、ほとんどの路線に少額ずつ予算を配分した。 ……以下,省略……
「asahi.com 2010年3月26日」
26日の閣僚懇談会では,ゆうちょ銀行の資金で「国家ファンド」を立上げ,高速鉄道や原子力発電所などインフラ輸出を後押しする,という前原大臣独自の構想も披露されたようだが,ここ最近「ちょっと思いついたから発言」が多すぎるような…….ゆうちょ銀行の預入限度額を上げて国債の引受けに使うのは愚の骨頂だ,と指摘した点は同感だけど.
打上げ花火のごとく構想を次々とぶちまけるのは大臣の特権かもしれないが,着地点を見据えていないとそれは単なる無責任にしか見えない.
―受講者さんへの確認依頼―
現時点で,建設部門は専門想定問題その12,建設一般その4まで「配信済み」です.総監部門は想定問題その10(最終問題)まで「配信済み」です.技術的体験論文(骨子)の提出に関するメールも,両部門とも2月19日に配信しました.なお,「制覇する道標」は,建設部門12月 23日付,総監部門12月29日付が最新版です.
もし手元に届いていないようでしたら,メールで連絡してください.セキュリティソフトによっては,送付したメールが弾かれているかもしれないので.
アジアや中東,中南米などで予想されるインフラ投資は,更新需要も含めると2030年までに約2,200兆円に達するという試算もあるようだ.
海外インフラを手掛けるには政府の支援が不可欠だが,一部の大企業を支援することがどのような国益になるのか,を合理的に説明できているとは到底思えない.子ども手当や高校無料化など,弱者保護を重視した政権とは正反対の動きのような気もするし.
それにしても,政府がリスクを負うことになる「インフラファンド」のような手法に対し,どれだけ国民は理解しているんだろうか(最終的に被った損害は税金で補填されるはず).
政府開発援助(ODA)はひも付き案件がバレたから?世界で5番目の規模まで縮小している.その代わりの「インフラファンド」かもしれないが,金の出所が違うだけで,企業が案件を獲得しようと政官界に働きかけるODAと同じ仕組みだと,癒着の温床になりやすいのでは?
少子高齢化や人口減少など,内需が頼りにならない現実はわかるんだが,現実逃避して,新興国という新たな外需を取込むだけの成長戦略が正しいのだろうか.そうして稼いだお金が国民に還元されるとは思えないし,そもそも海外インフラに手が出せる企業なんて所詮数が知れている.おまけに,現在新興国と呼ばれている国々が豊かになれば,次の新興国を探して……と「いたちごっこ」が続くだけだし.海外で相次ぐ原子力発電や鉄道などの大型社会基盤(インフラ)事業の受注を目指し、経済産業省が策定した「インフラ輸出総合戦略」の原案が20日、明らかになった。
海外事業に参画する日本企業を資金面から支える「インフラファンド」の設立を後押しする金融支援、メーカーとインフラ運営企業の連携強化、外交ルートで相手国に働きかける首相や閣僚らによるトップセールスなど官民一体の取り組みを求めている。
戦略案は26日の産業構造審議会専門部会に提案、経産省の「産業構造ビジョン」に盛り込み、政府が6月にまとめる新成長戦略の目玉に位置付けたい考えだ。
経産省は途上国などで発電所や上下水道、鉄道などのインフラ需要が急拡大し、世界の投資額が年間1兆6000億ドル(約144兆円)に達すると推定。しかし、受注合戦では欧米や中国などが官民一体で参入しているのに対し、日本勢はメーカーと電力会社やJRなどのインフラ運営企業の連携が十分取れていない。戦略案は政府の総合的な支援を含めた官民一体の体制づくりが必要と強調した。
戦略案の柱は金融面の支援だ。受注合戦では企業が低利の長期資金をどう工面するかが決め手となる。そこで民間からは調達しにくい長期資金を公的金融を投入することで手当てしやすくする。具体的には、国内の年金基金や機関投資家などの資金を集めて海外事業に投資するインフラファンドを国内でも設立できるように貿易保険を活用する。戦争や政治経済的な要因でインフラ事業が行き詰まった場合、資金を回収できなくなる恐れがある投資家の出資分などを補填(ほてん)する仕組みだ。
……以下,省略……
「YOMIURI ONLINE 2010年3月21日」
ぎすぎすしたグローバルな市場競争よりも,コミュニティや福祉を重視する精神的な癒しが必要だ,なんて後ろ向きなことは言わないが,新興国に進出すればすべてがバラ色というわけではない.やはり内需で食べていける基盤を確立したうえでのお話だと思う.加熱しすぎた国内の公共事業不要論を鎮める時期に来たのではないか.
―今日のことわざ―
耳を貴び目を賤しむ
さっき官報で氏名を確認したんだけど,合格された受講者さん,何はともあれ,おめでとうございます!!
残念ながら,「受講者さん全員が面接合格」では締括れませんでした.私の力量不足だったかもしれませんが,今一度気持ちを奮い立たせて頑張ってほしいと思います.
模擬面接を実施した成果が出て,建設部門(道路)は全員が面接合格しました.各地で協力していただいた技術士の皆さんには,本当に感謝しております.その反面,総監部門は不本意な結果になってしまいました……総監部門は試験官によって面接内容が大幅に異なるので,今年度はそのへんも考慮していきたいと思っています.建設部門(道路科目)は34名が受講されました.
・道路科目の受験者数2,936人,筆記合格者数523人(筆記合格率17.8%)
⇒受講者さんは10名が筆記合格(10/34=29.4%)しました.
・面接受験者数523人,最終合格者数447人(面接合格率85.5%)
⇒受講者さんは10名が最終合格(10/10=100.0%)しました.
・受験者数2,936人,最終合格者数447人(最終合格率15.2%)
⇒受講者さんは10名が最終合格(10/34=29.4%)しました.
総監部門(建設科目)は13名が受講されました.
・総監部門の受験者数3,264人,筆記合格者数843人(筆記合格率25.8%)
⇒受講者さんは7名が筆記合格(7/13=53.8%)しました.
・面接受験者数843人,最終合格者数697人(面接合格率82.7%)
⇒受講者さんは5名が最終合格(5/7=71.4%)しました.
・受験者数3,264人,最終合格者数697人(最終合格率21.4%)
⇒受講者さんは5名が最終合格(5/13=38.5%)しました.
受講者さんの分母の中には「添削料を払ったけどまったく勉強しなかった人」や「仕事の都合で勉強できなかった人」も含まれます.当たり前ですが,そのへんを考慮すると実質的な合格率は上がります.
通常業務との兼合いがあるので開催場所は限定的になりますが,平成22年度の添削指導でも模擬面接を実施する予定です.
口頭試験を受けた人は今夜眠れないかも……私自身,昨年受講された方たちの合否が気になるところ.
日本技術士会は午前9時から掲載する予定らしいが,何時になればつながるか,これが問題.ちなみに,このページは合格者の受験番号しか確認できません.
平成21年度 技術士第二次試験「口頭試験」合格者(平成22年3月5日発表予定)
インターネット官報のほうが早く確認できるかもしれません.〔官庁報告〕国家試験になるから,号外のほうに掲載されるのかな.こっちは合格者のフルネームが掲載される予定です.
インターネット官報
毎度のことながら,年度末が近づき怒涛の忙しさになってきました……さすがに今年度は業務を抱え込みすぎたかもしれない.取急ぎ今日のところはこのへんで.