たまには書籍の紹介でも……読書の秋だし.ただ,このブログで文学作品を紹介しても仕方ないし,そもそも私が文学少年ではないので,総監部門に関連した書籍にしておこう.
総合技術監理の5つの視点(経済性管理,安全管理,人的資源管理,情報管理,社会環境管理)のなかで,案外とっつきにくいのが人的資源管理だと思う.たぶん試験官にしても,この分野は不得手だと想像している.
そこで,今年度の面接対策を進めている人はもちろん,来年度の受験を考えられている人にも,今年8月に改訂されたグロービスMBAマネジメント・ブック【改訂3版】
をオススメしたい.要点をコンパクトにまとめている書籍だから,深追いしすぎることもないと思う.逆に言えば,総合技術監理の5つの視点を【本格的に】勉強するのなら,この本や青本だけでは足りないし,途方も無く膨大な時間を要することになる.
つまり,総監部門の合格という目的のためなら,どこまで【要点を絞って】勉強するのか,線引きが必要ということ.そうしないと,言い方は悪いがアチャラ語マニアになってしまう.
MBAと書いてあるだけで腰が引けてしまうかもしれないが,私も英語をカタカナ変換しただけのアチャラ語には弱い.でも,MBAであろうが何であろうが,総監部門の合格という目的に必要なところだけつまみ食いするのが上手い手段だと思う.
この本は,経営戦略,マーケティング,アカウンティング,ファイナンス,人・組織,IT,ゲーム理論・交渉術の7部仕立てになっている.そのなかの「第5部 人・組織」だけ目次を転載しておきます.ほかのアカウンティングやファイナンスなどは,興味がある箇所を眺めるだけで得るものがあるかもしれない.なお,ダイヤモンド社のホームページなら,すべての目次を見ることができます.
2003年(平成15年)といえば,阪神タイガースが18年ぶりにリーグ優勝した年だ.このときは星野監督が引っ張りだこだったなぁ……いまや北京五輪の采配をボロカスに言われているようだ.
今年のペナントレースでは,一時期2位のチームと13ゲームの差をつけていた阪神なのに,今や1ゲーム差……あわわ…….巨人が32年ぶりの12連勝なんて快挙をしちゃうから,尻に火が付いたという見方もできるが,問題の根源を他者に求めてはいけない.こんなゲーム差になった主因は阪神にある.
なんでもそうだが,一時期の余裕なんてものは「きっかけ」次第で吹っ飛んでしまう.技術士試験でも同様に,他の受験者を引き離したつもりが,ちょっとした油断で差は埋まってしまう.アドバンテージを維持したまま口頭試験に臨めるよう,気持ちを引締め直しましょう.
―今日のことわざ―
十分はこぼれる
総合技術監理の5つの視点(経済性管理,安全管理,人的資源管理,情報管理,社会環境管理)のなかで,案外とっつきにくいのが人的資源管理だと思う.たぶん試験官にしても,この分野は不得手だと想像している.
そこで,今年度の面接対策を進めている人はもちろん,来年度の受験を考えられている人にも,今年8月に改訂されたグロービスMBAマネジメント・ブック【改訂3版】
つまり,総監部門の合格という目的のためなら,どこまで【要点を絞って】勉強するのか,線引きが必要ということ.そうしないと,言い方は悪いがアチャラ語マニアになってしまう.
MBAと書いてあるだけで腰が引けてしまうかもしれないが,私も英語をカタカナ変換しただけのアチャラ語には弱い.でも,MBAであろうが何であろうが,総監部門の合格という目的に必要なところだけつまみ食いするのが上手い手段だと思う.
この本は,経営戦略,マーケティング,アカウンティング,ファイナンス,人・組織,IT,ゲーム理論・交渉術の7部仕立てになっている.そのなかの「第5部 人・組織」だけ目次を転載しておきます.ほかのアカウンティングやファイナンスなどは,興味がある箇所を眺めるだけで得るものがあるかもしれない.なお,ダイヤモンド社のホームページなら,すべての目次を見ることができます.
青本(第2版)の出版は2004年(平成16年)1月だから,この本に含まれる内容は前年までの知見ということになる.どう贔屓目に見ても古すぎるし,そもそも総監部門はどこに着地しようとしているのか,いまだによくわからん.基本的な戦略コンサル的要素を切った貼ったしただけでは使い物にならないと思うのだが.第5部 人・組織
1………企業経営と人・組織のマネジメント
1 企業経営と人・組織のマネジメント
2 人・組織のマネジメントに影響を及ぼす要因
3 組織行動学と人的資源管理
2………リーダーシップ
4 リーダーシップとマネジメント
5 エンパワーメント
6 パワー
3………個人と集団の行動
7 モチベーションとインセンティブ
8 集団のメカニズム
9 チーム・マネジメント
10 コミュニケーション
11 コンフリクト
4………組織と人事システム
12 組織文化と企業経営
13 組織設計
14 組織形態
15 人員配置
16 報奨
17 評価
18 能力開発
5………これからの人・組織のマネジメント
19 変革のマネジメント
20 組織学習
21 ワーク・ライフ・バランス(増補)
22 メンタルヘルス(増補)
2003年(平成15年)といえば,阪神タイガースが18年ぶりにリーグ優勝した年だ.このときは星野監督が引っ張りだこだったなぁ……いまや北京五輪の采配をボロカスに言われているようだ.
今年のペナントレースでは,一時期2位のチームと13ゲームの差をつけていた阪神なのに,今や1ゲーム差……あわわ…….巨人が32年ぶりの12連勝なんて快挙をしちゃうから,尻に火が付いたという見方もできるが,問題の根源を他者に求めてはいけない.こんなゲーム差になった主因は阪神にある.
なんでもそうだが,一時期の余裕なんてものは「きっかけ」次第で吹っ飛んでしまう.技術士試験でも同様に,他の受験者を引き離したつもりが,ちょっとした油断で差は埋まってしまう.アドバンテージを維持したまま口頭試験に臨めるよう,気持ちを引締め直しましょう.
―今日のことわざ―
十分はこぼれる
我ながら技術的体験論文の添削指導では,受講者さんに対して結構厳しいことを言っていると思う.だけど,私が妥協して面接がダメになったら,受講者さん自身が後悔するので,心を鬼にして書直しさせている……まー,この程度の指導でくじけるヤワな受講者さんは皆無だと思っているが……あはは.
先日の記事でも書いたが,やはり何度も修正させているのは図面が多い(特に計画系の業務や複雑な構造の場合).当たり前だけど,受験者は業務内容を熟知しているから,ある程度の図面を書けば十分だと解釈している.しかし,眠たい目を擦りながら体験論文を読むとき,試験官はそこで初めて業務を知ることになる.
現地状況なんてサッパリ頭に入っていない状態で,体験論文を読み始める試験官のことを考えていない図面が多すぎる.
見方を変えると,発注者と受注者の間で使う「打合せ図面」の感覚で作成しているものが多いということかな.とりあえず平面と断面があればいいか,みたいな感覚とも言える.
ここで勘違いしてほしくないのは,受験者自身が発注者であれ受注者であれ,互いに現地状況は熟知しているということだ.現地のイメージが共有された状況下で「打合せ図面」は使われていることを再認識してほしい.それと試験官に提出する図面を一緒くたに考えちゃまずい.くどいようだが,試験官は現地を知らない.

M.C. Escher/Ascending and Descending
試験官は現地を知らないという前提,これを無視して図面を書いちゃうと「だまし絵」になってしまう.もちろん,受験者はだましてやろうなんて思っちゃいないけど,試験官の置かれている状況を考えて図面を作成しないと,結果的に「だまし絵」を提出することになる.
受講者さんには,このへん厳しく指導しているので問題ないと思うけど,このブログを見ている受講者さん以外の方は,現地状況をまったく知らない技術士に体験論文を見てもらいましょう.そうすれば,いかに自分が試験官とのイメージ共有を考えずに図面を書いていたか,これが理解できると思う.
それが理解できないようなコメントしかもらえなかったら,見てもらう技術士を変えましょう.
個人的に「だまし絵」は好きなんだけど,やはりエッシャーが秀逸だと思う.技術的体験論文は美術作品じゃないけど,グレースケール(白と黒の濃淡だけで画像を表現する方法)でこれだけの「だまし」が表現できる.もちろん,受講者さんにエッシャーほどの技巧を望んだりはしない.ただ,うまくグレースケールを使えば立体表現も可能だし,場合によっては写真も効果的に使えばよい.
ほかにもたくさんの「だまし絵」があるので,The Official M.C.Escher Websiteのなかを探索してみてはいかがでしょうか?とかく固定的な視点になってしまいがちな土木技術者には目の保養になると思います.
ついでにYouTubeも貼っておきます.これは上の図(Ascending and Descending:上昇と下降)を動画にしたものだから「だまし」をイメージしやすいかも.エッシャーに関する動画はほかにもあると思いますよ.
先日の記事でも書いたが,やはり何度も修正させているのは図面が多い(特に計画系の業務や複雑な構造の場合).当たり前だけど,受験者は業務内容を熟知しているから,ある程度の図面を書けば十分だと解釈している.しかし,眠たい目を擦りながら体験論文を読むとき,試験官はそこで初めて業務を知ることになる.
現地状況なんてサッパリ頭に入っていない状態で,体験論文を読み始める試験官のことを考えていない図面が多すぎる.
見方を変えると,発注者と受注者の間で使う「打合せ図面」の感覚で作成しているものが多いということかな.とりあえず平面と断面があればいいか,みたいな感覚とも言える.
ここで勘違いしてほしくないのは,受験者自身が発注者であれ受注者であれ,互いに現地状況は熟知しているということだ.現地のイメージが共有された状況下で「打合せ図面」は使われていることを再認識してほしい.それと試験官に提出する図面を一緒くたに考えちゃまずい.くどいようだが,試験官は現地を知らない.

M.C. Escher/Ascending and Descending
試験官は現地を知らないという前提,これを無視して図面を書いちゃうと「だまし絵」になってしまう.もちろん,受験者はだましてやろうなんて思っちゃいないけど,試験官の置かれている状況を考えて図面を作成しないと,結果的に「だまし絵」を提出することになる.
受講者さんには,このへん厳しく指導しているので問題ないと思うけど,このブログを見ている受講者さん以外の方は,現地状況をまったく知らない技術士に体験論文を見てもらいましょう.そうすれば,いかに自分が試験官とのイメージ共有を考えずに図面を書いていたか,これが理解できると思う.
それが理解できないようなコメントしかもらえなかったら,見てもらう技術士を変えましょう.
個人的に「だまし絵」は好きなんだけど,やはりエッシャーが秀逸だと思う.技術的体験論文は美術作品じゃないけど,グレースケール(白と黒の濃淡だけで画像を表現する方法)でこれだけの「だまし」が表現できる.もちろん,受講者さんにエッシャーほどの技巧を望んだりはしない.ただ,うまくグレースケールを使えば立体表現も可能だし,場合によっては写真も効果的に使えばよい.
ほかにもたくさんの「だまし絵」があるので,The Official M.C.Escher Websiteのなかを探索してみてはいかがでしょうか?とかく固定的な視点になってしまいがちな土木技術者には目の保養になると思います.
ついでにYouTubeも貼っておきます.これは上の図(Ascending and Descending:上昇と下降)を動画にしたものだから「だまし」をイメージしやすいかも.エッシャーに関する動画はほかにもあると思いますよ.
リーマン・ブラザーズの経営破綻がAIG(アメリカン・インターナショナル・グループ)に引導を渡したようだ.一応政府が救済したけど,850億ドルを2年以内に返済するためには,アリコジャパンやアメリカンホームなどのグループ会社は遅かれ早かれ売却されるだろう.それより先に,解約者が殺到してしまう気もするが.
アリコのCMが流れ出したからって,他の局にチャンネルを変えてもアリコのCM中 だったことが……今となっては笑えない.
こんな状況下なのに,与謝野経済財政担当相は,「日本にももちろん影響はあるがハチが刺した程度.これで日本の金融機関が痛むことは絶対にない.沈着冷静な行動が求められる」と述べたらしい……この感覚がよくわからん……もうボロカスに痛んでるやん.
ハチが刺した程度じゃなくて,ゾウが踏み倒した感じなんですけど.この感覚で「貯蓄から投資へ」なんて言う政府には愛想笑いしかできない.
それにしても,リーマンを破綻させておきながらAIGは救済するって,倫理的に説明がつくんだろうか?金融市場への影響度合いはAIGのほうが甚大だと思うが,どの程度なら甚大で,どの程度なら軽微なのか,結局アメリカ政府の気分次第みたいな感じもする.
日本の建設業や不動産業界も,救われる企業と破綻させられる企業とで明暗が分かれているが,このへんの判断基準も実はいい加減なものなのかも…….
このまま金融不安が続けば,貸渋りや貸剥しが横行している銀行の蛇口はさらに閉まってしまう.そうなれば,資金を回転させて食いつないでいる建設業界に与えるダメージは相当深刻なものになるだろう.ただでさえ低入業務ばっかりで,利益も糞もない状態なんだから,資金フローぐらいは余裕を持たせないと会社組織はつぶれてしまう.

Photograph by Elliot C. Back
金融市場の異変は,昨年の8月突如表面化したような気がする.そう思ってブログの記事を読み返してみた.この時期は米ミネソタ州ミネアポリス市の橋(I-35W Mississippi River bridge)崩落事故があったんだなぁ…….
この記事を書いた2007年8月10日の日経平均株価終値は16,764円だった.その翌週大暴落しているが,今となっては子供だまし程度の暴落だったのかもしれない.今日の終値が11,749円だから,あの日から約30%も下落している……こりゃひどい.
あの日にアクションを起こしていればと後悔している人も多いはず.
やっと技術士試験に話がつながるが,自分で勉強しなきゃと気づいたとき(ハチが刺した程度の気づきで十分)にはアクションを起こさなきゃいけない.筆記結果発表されるまでの時期は,とかく無駄に過ごしがちになるのはわかるけど,楽して他人より一歩先に行けるなんて甘い話はない.
もし今年の筆記試験が自分でダメだったと気づいているのなら,来年に向けて始動したほうが得だと思う.他人より早く始動しなければ,結局来年もみんなと同時にスタートすることになって,元の木阿弥になってしまう.平成21年(来年)度の受講者さんも,申込みを済ませたからといって安気に構えるのではなく,お彼岸ぐらいには始動しましょう.
今年の筆記試験が自分で出来たと感じているのなら,早めに体験論文を完成させて,想定される質疑応答を準備していけばよい.平成20年(今年)度の受講者さんのなかには,のんびり構えている人もおられるようなので,お彼岸ぐらいには始動しましょう.
質疑応答は,自分が何を言いたいのかを考えることも大切だが,自分の回答によって試験官の頭の中で何が起きているのか,こっちのイメージを重視して作るべきだと思う.なんでもそうだが,独りよがりは決してよい結果をもたらしてくれない.
―今日のことわざ―
思い立ったが吉日
アリコのCMが流れ出したからって,他の局にチャンネルを変えてもアリコのCM中 だったことが……今となっては笑えない.
こんな状況下なのに,与謝野経済財政担当相は,「日本にももちろん影響はあるがハチが刺した程度.これで日本の金融機関が痛むことは絶対にない.沈着冷静な行動が求められる」と述べたらしい……この感覚がよくわからん……もうボロカスに痛んでるやん.
ハチが刺した程度じゃなくて,ゾウが踏み倒した感じなんですけど.この感覚で「貯蓄から投資へ」なんて言う政府には愛想笑いしかできない.
それにしても,リーマンを破綻させておきながらAIGは救済するって,倫理的に説明がつくんだろうか?金融市場への影響度合いはAIGのほうが甚大だと思うが,どの程度なら甚大で,どの程度なら軽微なのか,結局アメリカ政府の気分次第みたいな感じもする.
日本の建設業や不動産業界も,救われる企業と破綻させられる企業とで明暗が分かれているが,このへんの判断基準も実はいい加減なものなのかも…….
このまま金融不安が続けば,貸渋りや貸剥しが横行している銀行の蛇口はさらに閉まってしまう.そうなれば,資金を回転させて食いつないでいる建設業界に与えるダメージは相当深刻なものになるだろう.ただでさえ低入業務ばっかりで,利益も糞もない状態なんだから,資金フローぐらいは余裕を持たせないと会社組織はつぶれてしまう.

Photograph by Elliot C. Back
金融市場の異変は,昨年の8月突如表面化したような気がする.そう思ってブログの記事を読み返してみた.この時期は米ミネソタ州ミネアポリス市の橋(I-35W Mississippi River bridge)崩落事故があったんだなぁ…….
この記事を書いた2007年8月10日の日経平均株価終値は16,764円だった.その翌週大暴落しているが,今となっては子供だまし程度の暴落だったのかもしれない.今日の終値が11,749円だから,あの日から約30%も下落している……こりゃひどい.
あの日にアクションを起こしていればと後悔している人も多いはず.
やっと技術士試験に話がつながるが,自分で勉強しなきゃと気づいたとき(ハチが刺した程度の気づきで十分)にはアクションを起こさなきゃいけない.筆記結果発表されるまでの時期は,とかく無駄に過ごしがちになるのはわかるけど,楽して他人より一歩先に行けるなんて甘い話はない.
もし今年の筆記試験が自分でダメだったと気づいているのなら,来年に向けて始動したほうが得だと思う.他人より早く始動しなければ,結局来年もみんなと同時にスタートすることになって,元の木阿弥になってしまう.平成21年(来年)度の受講者さんも,申込みを済ませたからといって安気に構えるのではなく,お彼岸ぐらいには始動しましょう.
今年の筆記試験が自分で出来たと感じているのなら,早めに体験論文を完成させて,想定される質疑応答を準備していけばよい.平成20年(今年)度の受講者さんのなかには,のんびり構えている人もおられるようなので,お彼岸ぐらいには始動しましょう.
質疑応答は,自分が何を言いたいのかを考えることも大切だが,自分の回答によって試験官の頭の中で何が起きているのか,こっちのイメージを重視して作るべきだと思う.なんでもそうだが,独りよがりは決してよい結果をもたらしてくれない.
―今日のことわざ―
思い立ったが吉日
今年度の口頭試験対策と来年度の筆記試験対策,どちらの添削指導もボチボチ始動しはじめた感じです.受講者さんがオリンピック明けでやっと戻ってきた感じもするが…….これから気候的に過ごしやすくなる時期なので,休日は有意義に使ってください.
今日は総監部門について.総監部門の受験者は既技術士なので,文章作法の「てにをは」はできている.それを前提として,技術的体験論文の添削で気づいたことを書いておこう.
案外多い間違いは,課題を解決する提案が総監技術を駆使したものではなく,建設技術をチカラ任せに使っている論文だなぁ?.いくら新技術を使ったことを誇張しようが,それは総監の視点じゃぁない.
勘違いされると困るのだが,新技術というツールを使うことが悪いのではない.そこに至るプロセスが総監の視点になっているか,これを冷静に見直すべきだと思う.総監部門の場合,自分がたどった思考プロセスについて,試験官も一読すれば理解できるような記述を心掛けたい.

あと,トレードオフの視点が抜け落ちている論文も見受けられる.この視点からの考察がないと,いくら個別の対応が優れていても,どうしても薄っぺらい論文になってしまう.どんな業務であれ,「業務を進める上での課題及び問題点」として,何らかのジレンマやトリレンマがあるはずですから,じっくり考えてみましょう.
提出論文として記述する業務で発生する確率が高いのは,三種の神器とも言える「コスト,工期,品質」だから,そのへんからトリレンマの糸口を紐解いていけばよいと思う.
いくら小さな業務であっても,お金と時間の管理が必要で,その配分次第で成果は決まってくる.カビ毒や残留農薬などで汚染された事故米の不正転売問題みたいに,きちんとお金を払っても,バッタもんをつかまされる可能性はあるが,そんな与太話は提出論文を作るときに考えなくてよろし.
トレードオフの解消は総監部門の王道だから,これを避けて面接に望むのは,グローブを持たず守備に就くようなもんだと思う.提出論文というペーパーは「ベタな展開」の王道でいいが,面接での受答えが総監の視点で軽やかに(?)できなければ元も子もない.
荒っぽくまとめると,「当時の業務において総監技術をどう駆使したのか」,「業務を実施した当時使えなかった総監技術を,今の自分ならどう応用するか」,これらを自分の頭で悩むことが合格への近道となる.
―今日のことわざ―
急いては事を仕損じる
今日は総監部門について.総監部門の受験者は既技術士なので,文章作法の「てにをは」はできている.それを前提として,技術的体験論文の添削で気づいたことを書いておこう.
案外多い間違いは,課題を解決する提案が総監技術を駆使したものではなく,建設技術をチカラ任せに使っている論文だなぁ?.いくら新技術を使ったことを誇張しようが,それは総監の視点じゃぁない.
勘違いされると困るのだが,新技術というツールを使うことが悪いのではない.そこに至るプロセスが総監の視点になっているか,これを冷静に見直すべきだと思う.総監部門の場合,自分がたどった思考プロセスについて,試験官も一読すれば理解できるような記述を心掛けたい.

あと,トレードオフの視点が抜け落ちている論文も見受けられる.この視点からの考察がないと,いくら個別の対応が優れていても,どうしても薄っぺらい論文になってしまう.どんな業務であれ,「業務を進める上での課題及び問題点」として,何らかのジレンマやトリレンマがあるはずですから,じっくり考えてみましょう.
提出論文として記述する業務で発生する確率が高いのは,三種の神器とも言える「コスト,工期,品質」だから,そのへんからトリレンマの糸口を紐解いていけばよいと思う.
いくら小さな業務であっても,お金と時間の管理が必要で,その配分次第で成果は決まってくる.カビ毒や残留農薬などで汚染された事故米の不正転売問題みたいに,きちんとお金を払っても,バッタもんをつかまされる可能性はあるが,そんな与太話は提出論文を作るときに考えなくてよろし.
トレードオフの解消は総監部門の王道だから,これを避けて面接に望むのは,グローブを持たず守備に就くようなもんだと思う.提出論文というペーパーは「ベタな展開」の王道でいいが,面接での受答えが総監の視点で軽やかに(?)できなければ元も子もない.
荒っぽくまとめると,「当時の業務において総監技術をどう駆使したのか」,「業務を実施した当時使えなかった総監技術を,今の自分ならどう応用するか」,これらを自分の頭で悩むことが合格への近道となる.
―今日のことわざ―
急いては事を仕損じる
技術的体験論文の添削で気づいたことを書いておこう.今日は建設部門(道路)について.
やはり一番多いのは,課題と問題点が味噌糞一緒の論文だなぁ?.提出要領で,「業務を進める上での課題及び問題点」が要求されているんだから,味噌と糞は分けるべき.
簡単に言うと,(業務を遂行した当時の)現状が抱えている悪い点を解決するために求められていることが「課題」,課題を克服するうえで障害になっていることが「問題点」だと解釈すればよい.
つぎに多いのは,試験官とイメージを共有しようという心構えが見受けられない論文かな.
平面図と断面図があれば理解できる業務もある.しかし,いろんな構造物が輻輳する道路の場合,それらだけではイメージできない場合も多い.特に,景観や周辺環境がどうのこうのという抽象的な表現を含む業務はなおさらだ.
そんな状態のときには,すべてを文章や図表で表現しようとするのではなく,写真を添えてはいかがか.写真は白黒で印刷することを考えて濃淡を上手く使えばよい.
ここで毎度のたとえ話になる.
長澤まさみに好感を持っている芸能オタクが,その気持ちを相手に理解させるのは非常に難しい.長澤まさみを見たことがある相手には簡単に伝わることであっても,そうでなければイメージが共有できず,芸能オタクの持論展開は困難を極めることになる.
私自身,最近の芸能人の顔と名前はまったく一致しない.いくら背伸びをしても,せいぜい松嶋菜々子や仲間由紀恵が精一杯である.そんな状況で,相武紗季や石原さとみに対する気持ちを延々と述べられても困ってしまう…….

Photo: AP
たとえ話と同じように,自分なりに特別の工夫を施した業務であっても,試験官はあなたの業務を見たわけじゃない.多くの受験者が勘違いしているんだけど,自分ではイメージできている映像が,試験官には全然見えていないのである.それを前提として論文を作らないと,いくら立派な文章を書き連ねようが単なる自己満足で終ってしまう.
逆に,試験官とイメージを共有できてさえいれば,あとの補足説明なんてものは口頭で簡単に済む.そのために面接時間は延長されたんだし,最初の10分間で提出論文の説明を求められるのである.ちなみに,掲載した画像のオバマみたいな熱弁は,場の空気を読んでいないことになる……ほどほどのプレゼンで十分だと思う.
くどいようだが,試験官と共通のイメージ認識ができていない状態で,いくら必死に喋っても芸能オタクと一緒の扱いをされるだけである.
やっとまとめに入るが,提出論文というペーパーでは,イメージの共有化を最優先させればよい.もちろん,課題や問題点,課題解決策など,論理的な整合性(最低限のレベル)を確保したうえでの話です.
何度も推敲された文章と綿密に計算された図表,これらでチカラまかせに勝負していた時代は終った.経験論文は,イメージを共有するためのペーパーへとCHANGEしたのだ.
―平成21年(来年)度の受験に向けて―
CHANGEと言えば,平成21年(来年)度の受講者さんが予想以上に増えています.それだけ気持ちをチェンジさせている人が多くなったのだなぁ?と痛感している.官民問わず業界の先行き不安があるから,一刻も早く技術士を取得しておきたいという気持ちの表れかも.
毎年のことながら,年度末の納品ラッシュ時期は勉強にならないし,先日の豪雨みたいな災害復旧では不眠不休の状態になるかもしれないので,スタートは早ければ早いほうがよいと思います.
やはり一番多いのは,課題と問題点が味噌糞一緒の論文だなぁ?.提出要領で,「業務を進める上での課題及び問題点」が要求されているんだから,味噌と糞は分けるべき.
簡単に言うと,(業務を遂行した当時の)現状が抱えている悪い点を解決するために求められていることが「課題」,課題を克服するうえで障害になっていることが「問題点」だと解釈すればよい.
つぎに多いのは,試験官とイメージを共有しようという心構えが見受けられない論文かな.
平面図と断面図があれば理解できる業務もある.しかし,いろんな構造物が輻輳する道路の場合,それらだけではイメージできない場合も多い.特に,景観や周辺環境がどうのこうのという抽象的な表現を含む業務はなおさらだ.
そんな状態のときには,すべてを文章や図表で表現しようとするのではなく,写真を添えてはいかがか.写真は白黒で印刷することを考えて濃淡を上手く使えばよい.
ここで毎度のたとえ話になる.
長澤まさみに好感を持っている芸能オタクが,その気持ちを相手に理解させるのは非常に難しい.長澤まさみを見たことがある相手には簡単に伝わることであっても,そうでなければイメージが共有できず,芸能オタクの持論展開は困難を極めることになる.
私自身,最近の芸能人の顔と名前はまったく一致しない.いくら背伸びをしても,せいぜい松嶋菜々子や仲間由紀恵が精一杯である.そんな状況で,相武紗季や石原さとみに対する気持ちを延々と述べられても困ってしまう…….

Photo: AP
たとえ話と同じように,自分なりに特別の工夫を施した業務であっても,試験官はあなたの業務を見たわけじゃない.多くの受験者が勘違いしているんだけど,自分ではイメージできている映像が,試験官には全然見えていないのである.それを前提として論文を作らないと,いくら立派な文章を書き連ねようが単なる自己満足で終ってしまう.
逆に,試験官とイメージを共有できてさえいれば,あとの補足説明なんてものは口頭で簡単に済む.そのために面接時間は延長されたんだし,最初の10分間で提出論文の説明を求められるのである.ちなみに,掲載した画像のオバマみたいな熱弁は,場の空気を読んでいないことになる……ほどほどのプレゼンで十分だと思う.
くどいようだが,試験官と共通のイメージ認識ができていない状態で,いくら必死に喋っても芸能オタクと一緒の扱いをされるだけである.
やっとまとめに入るが,提出論文というペーパーでは,イメージの共有化を最優先させればよい.もちろん,課題や問題点,課題解決策など,論理的な整合性(最低限のレベル)を確保したうえでの話です.
何度も推敲された文章と綿密に計算された図表,これらでチカラまかせに勝負していた時代は終った.経験論文は,イメージを共有するためのペーパーへとCHANGEしたのだ.
―平成21年(来年)度の受験に向けて―
CHANGEと言えば,平成21年(来年)度の受講者さんが予想以上に増えています.それだけ気持ちをチェンジさせている人が多くなったのだなぁ?と痛感している.官民問わず業界の先行き不安があるから,一刻も早く技術士を取得しておきたいという気持ちの表れかも.
毎年のことながら,年度末の納品ラッシュ時期は勉強にならないし,先日の豪雨みたいな災害復旧では不眠不休の状態になるかもしれないので,スタートは早ければ早いほうがよいと思います.
米ルイジアナ州ニューオーリンズ市に上陸した「グスタフ」の影響は小規模だった,と報道されているようだ.思いっきり冠水した道路が写っているんですけど……これで小規模と言えるところがアメリカの国民性なのかもしれない.日本だったら袋叩きかもしれん.
ボチボチ体験論文や口頭試験の準備を始めている受験者も多いと思う.筆記試験では出題されなかったが,局地的な豪雨に対する社会資本整備のあり方は考えておくべきだろう.
8月26日から31日にかけて各地で激しく降った雨(平成20年8月末豪雨と命名された)では,愛知県岡崎市で1時間に146ミリの猛烈な雨が降った.これだけ降る前提でハード整備はできないんだから,そのへんどう対応するのか,自分の考えを持っておくべきだと思う.なんでもかんでもハザードマップの整備という回答で済ますのではなく,その有効性が自分なりに納得できているのか,熟考しておくべきじゃないかな?

Photo: Skip Bolen/European Pressphoto Agency
話は変わるが,福田康夫首相の辞任会見にはビックリした……安倍首相に続いてまたか.「安心実現のための総合対策」を取りまとめた直後に,不安を実現させるなんてメチャクチャだ.
大方の予想ではマンガ太郎が次期総裁だから,彼の経済政策ブレーンとされているリチャード・クーの出番があるかもしれんなぁ……ケイジアンの登場は懐かしい感じがする.麻生幹事長は「景気対策は内需刺激で」という考えだから,選挙対策がミエミエでも財政出動するだろう.建設業界としては明るい兆しかもしれないが,年金や医療などの社会保障制度,将来の不安を解消してくれたほうがありがたい.
結局,冷静に考えると有効な内需浮揚策がないんだよなぁ?.中小物流や農林水産業者に対する燃料費高騰への補助では現状維持がやっとだし,GDPに与える影響なんて軽微なもんだろう.公共事業を増やすだけが需要喚起じゃないんだけど,地方経済の疲弊状況や地場産業の沈滞化を見ると,公共事業頼みになるのは致し方ない気がする.
ピーク時の半分に減少した公共事業費を削減するにも限度があると思うし……WTI原油先物と一緒でオーバーシュート気味じゃないかなと.
過度に行き過ぎた市場競争は,「国民生活」を安定させるはずの人間関係,企業や組織,地域社会など,ありとあらゆるコミュニティを修復不能なレベルまで破壊してしまう.そうなってからでは遅いんだけど,すでにその傾向は顕著になっている.こんな状況で作成したハザードマップがどの程度有効なんだろうか.社会的な信頼構造が揺らいでいるときのソフト施策は脆いと思うのだが.
―受講者の皆さんへ―
平成20年(今年)度の受講者さんは,提出論文の準備を着実に進めてください.すでに何回か添削している方もいますから,遅れ気味の人は少し慌ててください.
平成21年(来年)度の受講者さんは,想定問題の配布を9月中旬?下旬頃と予定していたので悠長に構えられているかもしれません.のんびりし過ぎてはモチベーションが低下してしまうので,予定を繰り上げて今週中には想定問題を配布します(総監部門は配布済み).
ボチボチ体験論文や口頭試験の準備を始めている受験者も多いと思う.筆記試験では出題されなかったが,局地的な豪雨に対する社会資本整備のあり方は考えておくべきだろう.
8月26日から31日にかけて各地で激しく降った雨(平成20年8月末豪雨と命名された)では,愛知県岡崎市で1時間に146ミリの猛烈な雨が降った.これだけ降る前提でハード整備はできないんだから,そのへんどう対応するのか,自分の考えを持っておくべきだと思う.なんでもかんでもハザードマップの整備という回答で済ますのではなく,その有効性が自分なりに納得できているのか,熟考しておくべきじゃないかな?

Photo: Skip Bolen/European Pressphoto Agency
話は変わるが,福田康夫首相の辞任会見にはビックリした……安倍首相に続いてまたか.「安心実現のための総合対策」を取りまとめた直後に,不安を実現させるなんてメチャクチャだ.
大方の予想ではマンガ太郎が次期総裁だから,彼の経済政策ブレーンとされているリチャード・クーの出番があるかもしれんなぁ……ケイジアンの登場は懐かしい感じがする.麻生幹事長は「景気対策は内需刺激で」という考えだから,選挙対策がミエミエでも財政出動するだろう.建設業界としては明るい兆しかもしれないが,年金や医療などの社会保障制度,将来の不安を解消してくれたほうがありがたい.
結局,冷静に考えると有効な内需浮揚策がないんだよなぁ?.中小物流や農林水産業者に対する燃料費高騰への補助では現状維持がやっとだし,GDPに与える影響なんて軽微なもんだろう.公共事業を増やすだけが需要喚起じゃないんだけど,地方経済の疲弊状況や地場産業の沈滞化を見ると,公共事業頼みになるのは致し方ない気がする.
ピーク時の半分に減少した公共事業費を削減するにも限度があると思うし……WTI原油先物と一緒でオーバーシュート気味じゃないかなと.
過度に行き過ぎた市場競争は,「国民生活」を安定させるはずの人間関係,企業や組織,地域社会など,ありとあらゆるコミュニティを修復不能なレベルまで破壊してしまう.そうなってからでは遅いんだけど,すでにその傾向は顕著になっている.こんな状況で作成したハザードマップがどの程度有効なんだろうか.社会的な信頼構造が揺らいでいるときのソフト施策は脆いと思うのだが.
―受講者の皆さんへ―
平成20年(今年)度の受講者さんは,提出論文の準備を着実に進めてください.すでに何回か添削している方もいますから,遅れ気味の人は少し慌ててください.
平成21年(来年)度の受講者さんは,想定問題の配布を9月中旬?下旬頃と予定していたので悠長に構えられているかもしれません.のんびりし過ぎてはモチベーションが低下してしまうので,予定を繰り上げて今週中には想定問題を配布します(総監部門は配布済み).